2010年11月5日金曜日

Wienでのこと・映画祭のこと


24日数寄屋ライブの翌日,「seesaw」が正式招待されたViENNALE INTERNATIONAL FILM FESTIVALへ参加するため, ウィーンへ行ってきました。
この旅について書き留めておこうと思います。


10.25 mon

空港, 特に飛行機や滑走路が好きなわたしは, いつもあえて経由便を選びます。
なので直行便に乗ったことがない。
今回の旅はオランダ経由にしました。

Amsterdam Airport Schiphol































ウィーンの空港に着いて電車で中心地の駅へ行き, 駅からタクシーでホテルに着いた頃, 空港からの電車内にバッグを忘れたことに気付いて駅に取りに戻るというアホなトラブル!
駅に戻って駅員室でバッグを受け取って外へ戻ると, 待っててもらったはずのタクシーがいなくて(キャリーケースはトランクの中)アワアワしてたら近くのタクシードライバーさん達が心配してくれて, そうこうしている内に数分したらタクシーが戻って来て一件落着。という, どうしようもないトラブルもあり。
(なんでも「路駐してると警察がうるさいから1周回ってきたよ〜」と陽気なドライバーさん。ホッ。安堵。)

夜中のチェックインにも, とっても優しく対応してくれたホテルマン達。
チェックイン中にくしゃみをしてしまったら1人のフロントクラークさんが「God bless you」と言ってくれ「あとで係の者がお茶を持って行きますよ」と(多分)。
その時になにかを伝えようとしてくれて, わたしがハテナ?顔になっていたら何かPCで検索し始めたんだけど, ベルボーイに促されて部屋へ向かおうとエレベーターに乗ろうとした時にさっきのフロントクラークの方が来てドアに挟まれそうになりつつ, 漢字で『煎茶』とプリントアウトされた紙を指差して「これこれ!これ持っていきますよ!」と(多分)言っていました。

日本でもあり得ない程のうっかりトラブル直後だったので余計に暖かかったなあ。
嬉しさのあまり部屋に届けてくれたハーブティと煎茶をパチリ。
















10.26 tue

この日はオーストリアの建国記念日 (Nationalfeiertag)だったようで閉まっているお店も多かったです。
印象的だったのは, 敬意を表してなのか, H&Mなどの海外大手ショップも閉まっていたこと。

幾つかの大きな広場でイベントをやっていて賑わっていました。






























































































10.27 wed

チェコまで憧れの列車の旅!
ウィーンのMeidling駅からプラハhl.n.駅 (Plaha hlavní nadrazi)まで大体4時間半くらい。

昔からのお友達で大先輩, 去年10月わたしの企画イベントでもパフォーマンス出演をしてくれたパントマイミスト・Makotoこと井上真鳳さん夫妻が今年からプラハに住んでいるので, 折角近くに来たから念願のチェコに行きたい!と強行した旅。

2等車両のわたしが選んだ部屋の隣の部屋では駅員さん達が休憩中, 通路の影と手で影絵を作ってくつろいでいました。
















駅に着いてどこの出口から出れば良いか分からず, なんとなーく適当な出口で待っていて迎えに来てくれた井上さんと再会。
とはいえ夏に帰国していたときに会っていたので驚くほどの再会の感動のなさ!

ブラッと歩いてパッと見ると旧市街広場に, 教会権力に立ち上がり闘い処刑されたヤン・フス(1369-1415)像がありました。
見たいなーと思っていたものだったので感激。
ちなみにヤン・フスの命日は7.6で, チェコでは祝祭日になっています。

Jan Hus@Staroměstské náměstí















カレル橋 (Karlův most)
















チェコの1番の目的はビールといっても良いくらいだったので, ピルスナー(Plzeňský Prazdroj)をはじめ色々なビールを飲みました。
チェコはビールの消費量世界一です。どれも美味しかった。
わたしが日々のなかで大事にしている言葉「乾杯」は, チェコ語で「Na zdraví」だと教わる。

そして夫妻と(ヘビーな)チェコ料理とビールを味わった後にはオペラ。
「カルメン」がやっているということでチケットを取ってくれていました◎
席をとっていたのに皆でビール飲んでのんびりしていたら舞台がはじまってしまい, 1幕があけるまで天井桟敷から見るハメに..。
2時間弱経って1幕目が降り, ようやく席に行くとなんと最前列!
特にドン・ホセの許嫁ミカエラ役の方が素晴らしかった。

Carmen @Národní divadlo Brno(の, 天井)
















オペラを観た後はライトアップされたプラハ城が見えるお店でチェコワインを堪能。
ワインを何本か飲んだ後, トラムで井上さん夫妻の自宅へ。

家へ着くと夫妻の愛犬チワワ“おから(♂)”と“小町(♀)”が出迎えてくれました。
3人でワインやウイスキーを飲みながらそれぞれの国の文化, それぞれの人生観, 活動の話やヴィジョンを語り合っていたら気付くと朝5時...
その間おからと小町は椅子に座っているわたしの膝の上でゴロンゴロンしてました。
チワワのサイズでしかできない戯れ。


10.28 thu

わたしはリビングのソファベッドで寝かせてもらいましたが, 小町が当然のような顔をしてもぐりこんできて, わたしの腕にあごを乗せて寝てました。
おからは朝に(というか数時間後)トコトコやってきて, そばで丸くなりつつずっとわたしの手をペロペロなめてました。
1人+2匹で迎える, なんてご機嫌な朝!
あー・・・犬飼いたい。
















3人+2匹で地下鉄に乗りプラハ城へ向かって歩いていたら丁度10.28が独立記念日ということで, セレモニーに遭遇しました。
子供たちの聖歌隊の歌声を聴きながらチェコの歴史を思って泣きそうに。














聖ヴィート大聖堂ではAlfons Maria Muchaのステンドグラスが見られて大感動。
日本でもかなり有名なミッシャですが, チェコ語ではムハと呼ぶそう。

Katedrála svatého Víta















プラハ城 (Pražský hrad) から見る街並み
















きっちり24時間滞在でかなり駆け足のプラハでしたが, とても満足。
チェコは言語や通過が独自のもので難しそうだけど, 物価が日本に比べるとかなり安いので住みやすそう。
すっかりわたしの憧れの土地になりました。
井上夫妻ありがとう!děkuji!


10.29 fri

午前中, 「seesaw」監督・脚本・出演(シンジ役)の完山京洪&主演(マコト役)の村上真希ちゃんがウィーンへ到着して合流。
早速オフィシャルオフィスになっているヒルトンホテルへ挨拶に。

ヒルトンホテルのロビーはViENNALE仕様になっていました。
ホテルの1フロアが映画祭のオフィシャルフロアになっていて, オフィスへ挨拶に行くとViENNALEのネームパス, スケジュール, カタログ, パンフレット, マッチ, エコバッグ, 手帳, ショルダーバッグ(ちなみにファッションデザイナー・Bernhard Willhelmのデザイン)など, 1人づつ紙袋一杯にViENNALEグッズをもらいました。
ViENNALEのミネラルウォーターやビールもあってテンション上がります◎

Hilton Vienna - Lobby































空き時間に中心地観光をして, 夜にはオフィシャルオフィスに戻ってタクミ役の岡 慶悟くんと合流。中々連絡がとれなかったから会えるか不安で, ヒルトンで会えたときにはみんなでハイタッチ :-D

夜は夕食会。
Festival Dinner @Restaurant Stadtwirt
同テーブルの方々とはじめは中々打ち解けられなかったけど, そこは映画祭!好きな映画や監督の話で徐々に和やかになっていきました。
岡 慶悟くんの隣に座るフランス人の方に, 他のテーブルの方がどんどん挨拶に来られていて, 「あの大御所は誰なんだ!?」とわたしたちの疑問が残るまま夕食会を後に。
その後飲み直したのは言うまでもありません。


10.30 sat

午前中からURANIAという劇場にてDebra Granik監督作品「Winter's Bone」鑑賞。

ヒルトンのオフィシャルオフィスへ行って撮影。
写真を撮ってくれたのはViENNALEのカメラマン・Mr. Alexander Tuma















ご飯を食べたりお茶をしている間にみんなの緊張が高まっていきました。
そして遂に「seesaw」上映時間。
ドキドキしながら会場に着くと沢山のひと!
お客さんに混じって映画を観ていたら, もう何度も何度も観たのに色んな感情が押し寄せて来てやっぱり泣いてしまう..。

最後のクレジットが流れた後, お客さん達の拍手のなか司会の方に紹介され前へ出てQ&Aセッション。
はじめの挨拶だけはドイツ語と英語でしようと決めていたのに, あまりの緊張に英語部分で言葉が飛びました, 見事に。なので開き直って日本語で続きを。
(多分今までの人生で1番に近い緊張度...)
結局50分くらいQ&Aをやりました.......長かった。

はじまる前「お客さんが4人くらいだったらどうしよう!」と言っていたわたしたちの心配をよそに, チケットは売り切れだったようです。
心から感謝感激雨アラレ!
Skip City International D-Cinema FestivalやHawaii International Film Festivalよりも多くのお客さんが観に来てくれました。

Q&Aの時にお客さんが仰っていたけれど, オーストリアでは日本の映画を観る機会がなかなか無いそうです。
ちなみにこの映画祭で他に正式招待されている日本作品はコチラ。

行定勲 監督「パレード」

若松孝二 監督「キャタピラー」

・松本人志 監督「しんぼる」

「seesaw」上映後のURANIA劇場
















その後はフランス大使館にてレセプションパーティ。
French reception @Institut français de Vienne
















この日沢山のひとと知り合えてお話できて, すっごく楽しかったです。
軽口たたき合えるようになったひとや, 初対面なのになんか気があって盛り上がったひともいて, ただ昨日のフランスの大御所さんらしき方は結局この日もどなたか分からずにこやかに挨拶するだけ。

その後の船上パーティには行かず, 部屋に集まって飲み直したのは言うまでもありません。


10.31 sun

朝, 教会にてウィーン少年合唱団を聴いてきました。
合唱団はミサの一環としてだったんだけど, ミサ全体の空間が厳かで素晴らしかったです。
わたし達が見たのはウィーン少年合唱団の, おそらくシューベルト組。
個人的には特にメインソプラノの少年のソロパートでむせび泣き。

監督・完山氏と岡 慶悟くんの黒い服が赤絨毯に映えて綺麗。
Wiener Sängerknaben @Hofburgkapelle
















その後Leopold Museumで念願のEgon SchieleとGustav Klimtを見て感激!
Klimtの大判モノクロ作品の前で立ち尽くし息を飲みつつも, 時間がないので1フロアづつ早足で鑑賞しているとわたしの好きなPaul Kleeの作品も3点あってすごく嬉しかった。

国立図書館 (Nationalbibliothek) は絶対に行きたい場所だったのでひとりで行って堪能。
ディスプレイで本の歴史をじっくり時間をかけて見て, 図書館の独特な空気に浸る。

夜にわたしの泊まっているホテルのバーラウンジでみんなと合流して1杯。
それからGartenbaukinoというとっても大きな劇場でMike Leigh監督作品「Another Year」を観ました。

そのまま遅い時間から船での映画祭パーティへ。
日付を越えたあたりの時間に「seesaw」撮影・編集・製作の西田瑞樹さん&アシスタントプロデューサー・中村貴一朗くんが来て合流。
映画祭関係者も日本からこんなに人が来るなんて!とみんなビックリしていました。

前日のパーティでちょっと仲良くなったジャーナリストとこの日もちょいちょい話していたら, なんかもう前から友達だったかのようなお互いのフランクさ。
ViENNALEプロデューサー・Hans Hurchに持って行っていた“ヴィジョンと野鳥”CDを渡すと「いまここで流そう!いいだろう?」とDJブースへ向かって行ったので必死に「nein! nein! (no! no!)」と止めました。
クラブなノリの船上パーティで突然ビートのない日本語のアコースティック曲を流す勇気がわたしにはありませんでした。

Filmmakers at the Turntables Ⅱ @Badeschiff
















ホテルに戻ってみんなで飲み直したのは言うまでもありません。が, 疲れが出たのかわたしだけ途中で眠りに落ちグーグーグー。


11.1 mon

朝早くに別れを忍びつつ空港へ。
ウィーンには実質4.5日しかいなかったのに無性に悲しくなってしまって, 過ごした時間を反芻しながらアムス経由で帰国しました。
日本着は11.2。ひどい時差ボケのなか, なんだか1日損をしたような気がしてしまうわたしなのでした。

あ, 例のフランスの大御所のお方, 帰って来て発覚しましたがやはり大御所でした。



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BGM:Brad Mehldau Trio