2015年7月11日土曜日

moment by moment


▷ 最近のアレコレ画

  Recent picture of this and that


ベルリンに引っ越して3日目, ユダヤ文化フェスティバル(Jewish Culture Festival 2015)とアウシュビッツ, それと友人達に会うためポーランドへ行ってきました。


Kraków, Poland



クラクフは他の都市と違い戦争の被害を免れたので古くからの建造物が比較的そのまま残っている街。
夏日で暑いのに, ベルリンと違ってアルコール飲み歩きをしている人を見ないなと思ったら, 法律で禁止されているんだとか。
そして街中もベルリンと比べてゴミがとても少なく清潔感のある印象。

























































































フェスでのコンサートは主にシナゴーグで行われていた。
とても不思議な空間。
最終日には広場での野外ステージにてこれまでの出演者が総出演。
ユダヤ音楽というものへの理解がないわたしも楽しめた。
観客の反応を見ているのも面白い。











クラクフ市内からバスで約1時間半かけてアウシュビッツ=ビルケナウ収容所に到着。唯一の専属日本人ガイドさんと共に建物内部へと入り, 説明を受けながら展示物や写真を見てまわる。


収容所へ連れてこられた人々は, そのあまりの数の多さにまずそこに収容されることも許されず, 75〜80%はSS(ナチス親衛隊)医師の選別により「シャワーを浴びる」との説明を受けてガス室へ送られ殺された。
14歳以下の子どもは労働力にならないという理由で母親と共にガス室へ。


被収容者が着用させられた囚人服には各々の囚人番号と三角印が縫い込まれ, 識別された。
三角印の色はそれぞれ, ユダヤ人は黄色, 政治犯は赤色, ロマ(ジプシー)は黒色, エホバの証人は紫色, 同性愛者はピンク色, 刑事犯罪者は緑色だったという。


徐々に胸がザワザワして気持ちが悪くなりながら進んでいくも, 部屋の3分の2を埋め尽くす, うず高く積まれた髪の毛を見るともう倒れるかと思うほど息が苦しくなったけれど, ガイドさんの説明が素晴らしかったのでなんとか最後まで話を聞こうと, 必死に持ち堪えた。
髪の毛は生地に, 金歯は延べ棒に, 骨粉は肥料として使われたり池や川へ捨てられていたという。
実際にそれらの物を見ても, ただ眺めているだけだったらそれらがただ「モノ」として目に映ったかもしれない。背景を詳しく知ることによって想像がよりリアルとなり, それらが勿論「ただのモノではない」ことに, 何度となくハッとした。
これまでに本や映画などで少なからず知識は得ていたものの, 実際に自分がその場所に立って見ていると, 気持ちのやり場がない。


ガイドのNさんは当時の状況説明やホロコーストの歴史にとどまらず, 度々現在の日本や世界の問題と照らし合わせて話をしてくれた。本当に多種多様な問題が繋がっているのを, 改めて実感せざるを得ない。
そして歴史は繰り返す。

当時残虐行為を働いていた(命令していた)人々を, 必ずしも「特別な人間」だとは思わないでくださいと訴えるNさんの言葉に, ハンナ・アーレントの「悪の凡庸さ」を思い出す。
自分を守る為, 家族を守る為, 何かを守る為に, 人は時に信じられない程に他者をモノとして見, 扱いはじめる。
それは, 高度な文化や技術を持っていたドイツ人でさえ。誰しも例外ではない。

しかし, マキシミリアノ・コルベ神父や杉原千畝(ちうね)さんなど, そうではない人々も確かに存在したという事実は, 一筋の希望の光を見出させてくれる。
そんな杉原千畝さんを描いた映画が今年, 日本で公開するという。

アウシュビッツからビルケナウへ, シャトルバスで移動する。
証拠隠滅を図って爆破されたというガス室の跡を見ながら歩いていくと, イスラエル軍がセレモニーの準備をしている所に遭遇した。
複雑な思いでそこを通り過ぎようとした時, 1人の老齢の男性がNさんに声を掛けてきた。
その人はアウシュビッツ=ビルケナウ収容所の生き残りだというおじいさんだった。当時16歳, 今は86歳の彼は, 笑顔だった。
「昔, 日野トラックで働いていたんだよ」と屈託のない表情で話を続ける。
どうやら, イスラエル軍のセレモニーでのゲストスピーカーだったようだ。
おじいさんにお礼を告げ別れた後で, 日本はドイツの同盟国だったから, おじいさんは日本人に対してどんな感情を持っていただろうかと想像する。70年経った今だからこその笑顔だったのかもしれない。それは本人にしか分からない。
おじいさんの年齢的に, 生き残りの最年少世代であることは間違いない。
語り継いで伝えてくれる人々は, どんどんといなくなっていく。
人は愚かにも忘れていく。
それでも負の歴史を繰り返さない為に, なんとかして伝え広げていかなければと, ガイドのNさんのような人もいる。

国同士でも, 国内でも, 地域内でも, 人種間でも, 差別というものがある。残念ながらどこにでも当てはまってしまうその構図が, 少しの何かの引き金で静かに暴発すると, 気付いた時には時すでに遅し, 戦争への舵を取り始めるのだと思う。
どうすれば差別, そして争いをなくせるのか。
これ以上, 手遅れになる前に。

ビルケナウでの説明の終わりにNさんが会話の中で言った「役割は人それぞれ違うはずだから」という言葉が, わたしの中にずっと残っている。
























Wrocław, Poland


























  









  







































































日本で出合ったポーランドの女性学者Bさんのお家にお世話になる。
彼女と彼女のお母さんが住むその家は, とても気持ちの良い家。
家庭料理や焼き菓子を振る舞ってくれた。
その中でもスープが特徴的で, 酸味のある野草のスープが好物になった。

移動手段として, クラクフで慣れたトラムに加えバスもよく利用した。
ヴロツワフのトラムやバスは何故か車内でコインや紙幣が使えず, カードでしかチケットを購入できないのが面白い。







ある大学に入ると, たまたま学内の小ホールでクラシックコンサートが開催されていた。生徒とみられる若者とその親が一緒に演奏をしている親子参加が多く, 微笑ましかった。
入り口の門を見ても分かるように, こんな立派な教会のようなお城のような建物のなかで学ぶのは一体どんな気分なんだろう。





ヴロツワフから少し離れた場所にあるシフィドニツァという教会は1600年代の30年戦争後に建てられたルーテル派平和教会。建設には厳しい条件が課せられ, 市街に建てること, 塔や鐘を設けないこと, 1年以内に建て終わること, 建材は材木/粘土/砂/藁を使用することが条件だったというから, 建築物や建造物を見るのが好きなわたしにとっては興味深い。








ホロコーストや翻弄され続けた歴史を知る為に, 観光地と化している有名な場所に行くのも興味深いのだけれど, わたしは現地の人と一緒に何気ない場所へ行くのがなにより嬉しい。


Bさんの家からクロスバイクを借りて街をまわった。

川沿いを走り, 時にクロスカントリーのような道なき道を滑りながら登ったり, 街中へ出て各々に過ごす人々をすり抜け, 草っ原を通り抜けて足下は泥だらけ。
住宅地を走り, 家々を見ながら言葉を交わす。
髪をあばれさせる吹き抜ける風と, 言葉と言葉の間が心地いい。






150周年を迎えた動物園の外壁に沿って走っていると, 鹿が小屋に登って器用に棟に立っている。
外を眺めてみたかったのか脱走を考えたのかは分からないけれど, しばらくして戻っていった。






大きな公園のなか, ウェディング写真を撮る人達。









別れ際,「良かったらまたクリスマスに家に来てね」と言ってくれて頬が緩む。


人が親切で緑と花が多いヴロツワフに, また必ず行こうと思う。





-------------------



▷ ライブ後記  LIVE's postscript



-- June. 6 sat
"OUR HOUSE 最終回"
at : 恵比寿 Enjoy House (tokyo)


たまにDJをさせていただいていたイベントが終わりを迎えた。
今ではこういった機会がないと家でも中々レコードを聴かなくなってしまったのだけど, 久しぶりにレコードをあさっているとどうにも愛おしさがこみ上げる。
レコードを手にとる感触から, ジャケットの匂いから, 盤面から, 針を落とした瞬間からはじまるあの特有の空気感。

やっぱりレコードが好きだなと頷きながら音を楽しんだ夜。

ありがとう。






















-- June. 7 sun
"第8回 ゆんたく高江"

at : 新大久保 R'sアートコート (tokyo)


2年ぶりの出演となった"ゆんたく高江"も, 8回目。

はじめての会場に着くと, 思わずホッとする知った顔が並んでいた。

今回は役者の大月ひろ美さんの一人語りと, わたしの音楽。


決して悲観的にならず, そして怒りの渦に飲まれて自らを見失ってしまわない彼女の語り口が好きだ。

愛を失わない, 不正に対する凛とした怒りは美しいとさえ思う。それは誰に対してもそう感じる。と同時に背筋が伸びる。
高江からゲストで来てくれた伊佐育子さん, 儀保昇さんもそう, 口調は優しく言葉も柔らかい。
伝えたい, 伝えようとする気持ちが伝わってきて, そのエネルギーが良い循環を生み出し波動が広がっていくのを感じる。

















わたし達も, そう願ってのパフォーマンスだった。
高江に行ったことのない人には,(沖縄というひとくくりでのイメージとは別の)高江という場所がより想像しやすくなることを願って。行ったことのある人には, どこか懐かしく, でも新鮮な見え方になるようにと。

こんなにもわたし達の心を掴んで離さないこの土地のことを, みんなに知ってほしい。

現在のことはもちろん, そして「なにか大変なことが起こっている」のが  今  だけじゃないことも。

三上智恵監督のドキュメンタリー映画「標的の村」「戦場ぬ止み」はすべての人に観て欲しい 現実 です。



-- June. 20 sat

野外演劇・楽市楽座 "バードフラワー"
at : 井の頭公園 西園 (tokyo)


一家三人全国行脚の '楽市楽座' さんの東京公演にゲスト出演しました。

野外での生音演奏は, 風の音, 犬の吠える声, 虫の羽音まで聞こえるような, 生きている音の集合体でした。

(観ている間は家族だとは忘れているけれど)この家族のエネルギー, 逞しい繊細さが層になってステージが作られている。生き方そのまま, むきだしの。












-- June. 25 thu

"Pre-departure Live"
祖師ヶ谷大蔵 Cafe Muriwui


来てくれた皆さん, 言葉を寄せてくれた皆さん, ありがとう。

静岡や大阪から日帰りで来てくれた方々もいて嬉しかった。

ここムリウイで演奏するようになって, しばらく経つ。

はじめはギターも弾けなかったけれど, 段々と一人でライブをするようになって。ちょっとずつ, ちょっとづつ。

時とともに味覚や考え方, 感じ方が少しづつ変化していくように, 人生と同じく音も変化していくのだろう。









産休前日のほりがね堂さんが作ってくれたココナッツのケーキは本当に本当に美味しかった。


















SET LIST

1st stage

・Wake up
・Coral
・Humming song
・Cross Border
・祈りのうた
・Song of Miryan

2nd stage

・8mm music
・Mahogany
・沖縄県東村高江の歌 (七尾旅人)
・こうなったらいいな
・The Nameless Land

Encore

・子守唄



演奏を聴きながら皆さんがどんなことを想起/想像しているのかは見えないけれど, 音を聴いているその時に見えてくる映像が決して悲しみに埋め尽くされないように。絶望からなるべく離れた場所へと導いてくれるものでありますように。


一人として例外なく, いつでも出来る限り愛に近い存在でいられますように。





-------------------



▷ Solo Album "Wonder Aloud"






全国のCDショップ, 各WEBサイトでご購入いただけます。
また iTunes や Amazon mp3 から音源のダウンロードもできます。


you can purchase at CD shop in Japan, and the web site of each store.

moreover, the download from 'iTunes' or 'Amazon mp3' also possible.

iTunes : JP / US
Amazon mp3 : JP / US / UK



you can listen here

視聴できます